木の家を建てる設計事務所
家族の形はいろいろあれど、どんな家族にとっても、安心して暮らせる家があることが何より大切です。
家は人が造る家族の器ですが、その家の存在が、人・家族を守り、癒し、生きるエネルギーを生み出す場となってくれるからです。
住まいは、家族にとって心地よく、ストレスを受けず、より良いつながりを支えてくれる拠りどころでなくてはなりません。それが家の使命・原点ではないでしょうか。
そんな住まいで育つ子どもたちこそ、家族を愛するように家を愛しみ、家から学び、家に感謝し、家族の暮らしを刻んだ家の記憶を胸に、きっと豊かな人生を送ってくれるはずです。
私達がお手伝いする家づくりでは、住み手が心に描く心地よい暮らしのイメージや、家に託す願いを共有することからはじまります。
その上で、現代の家づくりにおいて何を選択し、何を捨ててゆくか、を考えていきます。
立地環境のこと、法規制のこと、健康のこと、デザインのこと、環境やエネルギーのこと、素材のこと、構造のこと、コストのこと、町のことなど、複雑に絡み合ったあらゆる選択肢の中から、より良い選択ができるようお手伝いするのが、我々の職務だと考えています。
考え方の基本は、「生活を分断しない広がりのある間取り」です。
家族室を中心に据えて、そこから他の空間へと連続しながらも、一体感を損なわない、家族の気配を緩やかに感じるつくりとします。
また、機械に頼らずに暮らすために、〝光〟〝風〟の力を最大限に借りる工夫も重要なポイントとなります。
さらに、仕事(家事)エリアの設計も大きなテーマです。
住み手の我家流の提案と、私達のテクニックでオンリーワンのプランを生み出します。
ボルトなどの金物に頼リすぎずに、伝統的継手仕口によって組上げます。
ただし構造計画で最も大切なことは、架構(柱・梁の位置)が無理なく間取りと一致していることです。
架構のグリッドに、目指す間取りをうまく当てはめる(グリッドプランニング)ことで、しっかりとした構造+可変性のある間取りを実現しています。
日本で消費される木材の内、国産材は2割に満たないのが現在の状況です。
住む人の健康だけを考慮するならば、国産材でなくともムクの木を使えばよいと言えます。
しかし私達の暮らすこの日本を元気にするために、日本の木を使って日本の家を建てることが私達の責務と考えています。このまま山林の放置が続けば、山は水源・治水・酸素供給・生態系保持の能力を失います。そうならないためには、日本の林業が産業として成立つ仕組みが必要です。
私達に出来ることは、まず日本の木を使うことなのです。
ムクの木をはじめとし、紙、土を極力使うように心がけています。シックハウスの元凶になるものを避けるという目的もありますが、触れてホッとし、経年の変化に愛着を感じ、職人の技に敬意を抱けるような素材を使ってゆきたいと考えるからです。
工業製品にはない快適さをもたらしてくれるこれらの素材ですが、よいことばかりでもありません。
木には割れ・収縮・反り、土はひび割れ、紙は水を吸い破れるなどの欠点(言換えれば個性)があります。自然素材とうまく付合う心構えが、つくり手のみならず住み手にも必要です。
自然素材と切っても切れないのが職人の技です。
法隆寺の例をひくまでも無く、日本の木造建築技術が世界で最も優れている事に異論の余地はないでしょう。
けれどこのことが過去形になってしまってはいけません。
合理化の名の元に〝切って貼った〟ようなつくりの家が巷に溢れています。
何も文化財級の仕事を住まいに求めるわけではありませんが、人に恥じないきちんとした仕事をし、それに対し正当な報酬を職人達が得られる家づくりを目指したいものです。
建築の工事の中には初心者でも行える作業があります。
材木の柿渋塗、床のワックス塗りや漆塗。プロの仕事とは比べるべくもありませんが、「これは私がやったんだ」という部分がひとつでもあると、家への愛着はグッと増すものです。
やる気さえあれば、左官屋さんの指導のもと壁塗にチャレンジすると楽しさ倍増です。
コストダウンにも繋がります。
私達の仕事の最も重要な事柄のひとつがコストコントロールです。
素晴らしい設計内容の計画も、コストコントロールが為されていなければ絶対に実現しません。
限られた予算内での取捨選択を行うためには、施工にかかるリアルなコストの把握が重要であると考え、データを蓄積しています。
それにより、計画の初期段階で総事業費計画書を、基本設計時に工事概算内訳予定書を作成し、これを踏まえて詳細設計を行ってゆきます。
アトリエヌックの実績のひとつに、「Tさんの家」があります。
この物件については現場リポートを行い、一軒の家の着工から竣工までを丁寧に追っています。
興味のある方は是非ご覧ください。
・これまで手掛けた物件を写真や資料でご紹介いたします。
・打ち合わせや業務の進め方、かかる費用のことなど、当事務所の仕事の方法を詳しくご説明させていただきます。
・推奨する工法や素材のことなど、サンプルを見ていただきながらご説明いたします。
・建主の方からも、どのようなお住まいを求めていらっしゃるかなど、お話しください。
・お子様連れも構いません。
・この時点での費用はかかりません。
・設計契約
来所いただいての面談や物件の見学を通じ「一緒に家づくりをやっていけそうな相手であるか」をお考えください。何度でも納得いくまで、やり取りをさせていただきます。その上で、当事務所に設計監理の依頼を希望されましたら、その旨の意思表示をいただきます。それを経て、基本設計に取り掛かり、同時に設計監理委託契約を結んでいただきます。
・基本設計
敷地を拝見し、お住まいへの希望をお伺いし、まずは第一案目を作成いたします。その案に対してのご意見や感想をいただき、案を見直す、又は全く違った観点から追ってみるなど、建主の方と我々双方が納得できる形にまで、案を詰めていきます。この、やり取りを含めた基本設計の作業は、早くても3か月ほどの期間を要します。
・実施設計
間取り、外観、概ねの仕様、概ねのコストが合意に至りましたら、基本設計の終了です。その後は、細部を詰めていく実施設計作業に移ります。正確な建築費用を見積もるため、作り手に建物の内容を間違いなく洩れなく伝えるため、建主の方に家の隅々までがどのようなつくりになるのかをお知らせするため、たくさんの図面を描きます。2か月半から3か月の期間を要し、その間も定期的に建主の方との打ち合わせを行います。
・工事見積、請負契約
実施設計図を工事業者に渡し、詳細見積もりをお願いします。工事業者はこれまでの実績を勘案し、こちらから建主の方にご紹介させていただくことが殆どですが、建主の方のご希望で依頼されたい業者さんがいる場合には、それにも応じます。
我々は、工事を監督する立場として見積内容を細かくチェックし、コストの絞り込みや設計内容の見直しを経て、工事額が双方合意に至るまで、責任をもって臨みます。
見積開始から、工事契約に至るまで、およそ2~3か月くらいをみます。
・工事開始から竣工
我々の手がける建物では、30坪程度の住宅でおよそ6か月ほどの工事期間が必要です。
その間、1週間から10日に一度の割合で、現場に赴き工事監理を行い、建主の方に報告をいたします。建主の方にも、折々に現場にお越しいただき打ち合わせを持ちます。
目安は、工事費の10%~としています。
規模、建物の内容により前後します。
長期優良住宅申請、低炭素住宅申請、許容応力度計算、開発許可申請など、通常必須でない業務に関しては、別途費用が必要となります。