木の家を建てる設計事務所
ここ戸田の家では、昨年竣工の熊谷の家と同じ棟梁が木工事に当たってくれています。
熊谷の時以来、息子さんが棟梁を張りお父さんがサポートをするという、親子ペアでの仕事です。
なので、二人共腕のある職人さんですから、大工工事の進むペースが速い!
段取りに無駄がなく、こちらとの打ち合わせも的を得ていて、とても信頼がおけます。
経験に基づいた小さな気配りをしながら、作業を進めてくださっていますが、出来上がってしまうと見えなくなってしまうことが多く、我々も建主さんも気付かないことが多いもの。
「大工は、どうしたら長持ちする家にできるかを一番に考えている」
「そのためには、仕上げの造作以上に、下地が大事」とは棟梁父の弁。
「当たり前のこと」と棟梁は言いますが、その断片を少しづつ紹介していきたいと思います。
●根太材の選定
1階床の根太は、幅40mm、成が60mm、@303mmで配します。
搬入された材の中からより通りのよいものを選び、長物使いとするそうです。
根太の暴れは床の不陸につながるので。
多少反りなどあるものは、カットし短い用尺で用いるとのこと。
ちなみに二人で担当する階を分けていて、棟梁父は1階です。
●壁下地
せっこうボードはおよそタタミ一枚の大きさのため、壁に張る際は、縦横に継ぐ必要があります。
割付を予め考えて、その継手部分に胴縁(下地材)を配しておきます。
2枚のボードの端部をそれぞれ留めつけるので、この材の見付け寸法は45mmは必要。
壁の入隅も2方向とも必ず縦胴縁を入れて、ボードの端部がしっかり留められるようにします。
床と壁の取り合い部分に入れる部材「巾木」。
その巾木を取り付ける横胴縁。縦材の間柱があれば済みそうですが、やはりしっかりさせるには面で受ける方が丈夫。
●階段手摺下地
ボードの継手だけでなく、階段手摺の設置位置も、展開図から割り出し、予め下地を入れておきます。
力のかかる部分なので重要!
斜めに見える材がそれ。
このほか、壁に直接取り付ける棚板や、腰板張りの見切縁の下地など、仕上げに応じた高さ・位置に下地を入れてあります。
これは、翻って、そういったものは予め勘案して図面に盛り込んでおくのが重要!ということです。
●床板取り合い
柱が室内に露われる真壁構造では、床板と柱が直接取り合います。
後々材が収縮したとき隙間が開かないようにするため、床板が柱にのみ込むようにつくります。
そのための柱の欠きこみを「首切り」と言います。
厚み25mmのサワラ床板
「首切り」上の切り込みは丸ノコで。
根太のすぐ上、下の切り込みはノコギリで。
●床板と給排水管
セルロースファイバー断熱を先行しているため、床張りの前に給排水管が既に立ち上がっている状態での床板張り。
その部分の床板は予め2枚を接いで、配管位置を写し取って穴を開けてから張り込み。
●面格子下地
木製面格子を設置する窓には、防水紙と防水テープ貼りの前に、予め受け材を入れておきます。
●枠材
枠材は下小屋(大工さんの作業場)で既に加工済みのものを搬入。
下小屋には、パネルソーや自動ガンナなど設備が整い、現場より効率よく加工ができます。
なので、現場作業を時々休み加工仕事を下小屋で行い、部材をまとめてつくってきます。
●戸袋鏡板
アルミの既製戸袋枠に、唐松の鏡板を仕込んでもらっています。
パネル状に接ぎ合わせた板を、嵌めこんでいるのが、戸袋内を覗くとわかります。
2階担当、棟梁の仕事紹介は次の機会に...。