木の家を建てる設計事務所
「建主さんの言葉」シリーズ 2話目です。
2014年春に竣工した、大規模リフォーム物件のY邸。
しばらく暮らされたあとに、設計期間中のことや住後感について、ご主人のYさんが書いてくださいました。
https://atelier-nook.com/works/2015/01/oume.html
2013年、われらシニア(高齢者と言わないところがにくい)夫婦は、終の棲家となる〝器〟の改装を決めた。以下、思うままに完成までの経過や約1年間住んだ後の感想をつづる。
1.アトリエ・ヌックに設計を依頼するにあたりポイントとしたのは、①耐震、②断熱、③生活空間の整備、であった。①及び②についてはヌックの設計にすべてゆだね、③については、日常生活パターン、シニア生活への対応、既に所有していた家具との一体感あるデザインなどの希望(わがままを含め)を伝えた。最終の詰めの段階では、急に部屋仕様の大変更もお願いし、最終版までの完成に約半年を要した。建築士とは、なんと辛抱強く、包容力があり、また次から次へとアイデア出てくるものだと感心した。要は建築士との事前の濃密なやりとりこそが、完成したときのより大きな満足感に結びつくのを感じた。
2.建築中はできるだけ現場に行くことを心掛けた。当麻工務店はじめ色んな職種の職人さんたちが建物を造りあげていくのを見、話を聞くのが実に楽しかった。彼らの経験に裏付けされた技は当然ながら見事であった。予期せぬシロアリ被害や屋根裏の腐蝕もあったが、完璧な対応を施した。
現場でヌックと当麻氏の打ち合わせの時、端で聞く会話も面白い。ヌックの考えに当麻氏は「それはできない」というところがあるし、しばし考え込んで別案を提案することもある。プロ同士のやりとりがいい。
3.壁と床板の素材にはこだわった。壁はシラス火山灰から作られた薩摩中霧島壁を選択し、床材はドイツ製オーク材を採用している。いづれも出来栄えは極めて満足するものであった。照明器具はじめ調度品については自ら都内・京都・松本に趣き、部屋のイメージに合うものを選択した。
4.かってのお勝手は、抜群に使い勝手のいい調理場に変身した。ヌックが撮影した使用前(勝手に撮られた)・使用後みたいな比較写真を見ると、その変わり様に驚く。シンク、調理台、収納のいづれも女性建築士の繊細で機能性豊かな設計が充満している。ただし、それでも変わらないものがある。それは当方料理の腕。
5.リビングヌックは快適な小安息部屋。ソファに横になり、新聞を読みだすとすぐに寝息がもれる。夕刻、ガラス戸から入り込む柔かい西陽を眺めながら盃をかたむける。辞書にはヌックとは〝隠れ場所〟の意味もあるが、シニアはここで堂々と至福の時をすごす。いつかロコモーティブ不全になった時にもこの部屋は居心地のいい空間になるに違いない。
6.居間、台所、玄関まわり、内ドアなどの木製建具のデザイン(塗装を含め)と機能性は、全体の調和の中に見事に納まった。随分棚の多い家、と当麻氏は言うが、積りに積もったシニアのがらくた(なかなか捨てられない)を収納するのに実に有効であった。家具を配置した居間とリビングヌックをみて、ヌックは「まるでショールームのようだ」との言葉を発した。
7.断熱性について。正月をはさむ約1か月間、厳寒期早朝の室内外の温度測定により検証したところ、その効果は抜群であった(木の家だいすきの会通信2015年2月号)。シニアにとってヒートショックは怖いのだ。
8.建て主は出来上がる家にイメージをふくらませる。建築士と工務店は建て主のその思いを理解し、実際の設計・建築を通して具現化していく。それぞれが人間の生活の場を造りあげるという喜びを享受し、完成に導く。人生の終章を迎えた私どもにとって何と楽しく充実した時間を与えてくれたことか。建築に携わった人々に感謝。
先日、数日信州へ温泉と食の旅に出た。わが家に帰着した時ほっとして「あー、わが家が一番だね」という妻がいる。
ホッと安らげる無垢の木の家、家事がしやすくストレスのない住まい、光と風を感じる空間、健康負荷の無い自然素材の家、セルロースファイバー断熱の呼吸する住まい、高耐震住宅の設計を得意としています。
『家づくり至高ガイド』&『住宅リフォーム至高ガイド』(エクスナレッジ刊)その他、住宅に関する執筆多数。
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