木の家を建てる設計事務所
1月中旬に着工したT邸、先日無事上棟しました。
上棟のリポートはまた改めてということで、基礎工事に関してのことを書いておきたいと思います。
施工監理者にとって、チェック項目の多いのが基礎工事です。
ご存知のようにこの冬は低温&荒天の日が多く、温度に敏感なコンクリートに関しては、更なる注意が必要でした。
監督さん共々、天気予報及びコンクリート配合計画書とにらめっこの基礎工事となりました。
監督さん・職人さんの気使いの下、無事打ちあがりホッとしています。
工事の流れを紹介しつつ、冬の基礎工事の留意点について書いてみました。
①根切り工事
基礎の底面は、地表より下に埋もれる形でつくるため、その部分の土を取り除きます。
それが「根切り―ねぎり」です。
周囲に見えている木の囲いは「遣り方」といい、横板が建物の基準となる高さを示しています。
掘った部分の底は、土の締固めを行います。
②捨てコン工事
基礎底面にあたる部分は、
砕石敷き固め→防湿シート張り→捨てコンクリート打ち
の順で下地づくりを行います。
写真は半分まで捨てコンクリートが打たれた状態。
段差は、基礎の梁部分とベタ部分のレベル差です。
捨てコンクリートも納入書で品質をチェック。
コンクリートは工場で作られて2時間くらいから硬化が始まるので、90分以内に現場に到着しなければなりません。
③配筋・型枠工事
捨てコンクリートを打ち終えて、数日置いて硬化させたのち、鉄筋の配筋を行います。
配筋に先立ち、まずは基礎の外周を形づくる型枠(外側が黄色の鉄板製の板)を設置します。
配筋は立ち上がり部分から。
鉄筋の太さや間隔、継手長さ等、設計通りに設置していきます。固定は細い鉄線で。
立ち上がり部分を終えたら、水平部分の配筋を行います。
流し込んだコンクリートが鉄筋の下端に回るように、捨てコンクリート面から基準通りに浮かせて設置します。
立ち上がり部分も水平部分も、基礎の強度に直結する「コンクリートのかぶり厚さ」の確保が、
この配筋作業で決まるので、そこが重要なチェックポイントです。
小さな家でも3~4日を要します。
④コンクリート打ち工事
水平(ベタ=耐圧版)部分の打設から行います。
晴天日を待っての作業としました。
コンクリートは、気温が低すぎると硬化が遅く、強度が出るのに時間がかかり過ぎ、工程に影響がでます。
また打設した後、セメントが結合して硬化する過程で概ねの水分がなくなるまで、凍結は絶対に避けなければなりません。
そのため冬場のコンクリート打ちは、色々な措置を取ります。
・強度がより早く出るよう、水セメント比の小さなコンクリートを使う
・凍結抵抗の性能を持つ混和材を用いる
水平部分を打ち終え、養生期間を置いたら、立ち上がり型枠の内側を組みます。
この作業で、基礎の立ち上がりの巾や鉄筋のかぶり厚、アンカーボルトの設置を行います。
立ち上がり部分の打設作業。
・日中の気温上昇を見込み晴天日を狙い、早目の時間に打設し、夜間の気温低下まで時間を稼ぐ
ポンプから圧送されるコンクリートを型枠内に流し込みつつ、
バイブレーションを掛けながら余分な混入空気を抜きます。
立ち上がり部分打設時も、水セメント比48%の固いコンクリートを使用。
流動性が少なく打ちにくいのですが、硬化が早まり強度も出やすくなります。
・立ち上がり部分はベタ部分より空気に触れる面積も多く、
金属型枠を使用していることから、夜間対策として布をかけて養生
打設後、9日目に型枠を外しました。
表面にジャンカは見られず、まずまずの打ち上りです。
アンカーボルト、ホールダウン金物もほぼ垂直に配置できました。
ホッと安らげる無垢の木の家、家事がしやすくストレスのない住まい、光と風を感じる空間、健康負荷の無い自然素材の家、セルロースファイバー断熱の呼吸する住まい、高耐震住宅の設計を得意としています。
『家づくり至高ガイド』&『住宅リフォーム至高ガイド』(エクスナレッジ刊)その他、住宅に関する執筆多数。
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