長年(いったい何年?!、多分二十数年)続いている大平建築塾。
長野県飯田市の山間に、昔大平宿という宿場がありました。
伊那谷と木曾谷を繋ぐ峠に位置し、二つの谷を行き来する人が一晩を過ごした場所です。
時を経て峠越えに宿泊は不要となり、エネルギー源は炭から石炭に代わり、大平宿は近代化から取り残されました。
農業も林業も効率よく行えない場所で、住民への公共サービスに限界が生じ、昭和40年代に集団離村が行われました。
残された宿場の建物群。
これを歴史・文化・民族の遺産として、守っていこうと多くの人々が関わり、今に残されている大平宿。
毎夏には有志が集い、建物保全・伝承のための研究会・新たな担い手の発掘・民家暮らし(囲炉裏)体験などを主目的に、「大平建築塾」http://sb-jin.seesaa.net/を開催し続けています。
アトリエ・ヌックの新井は、この毎年の塾に欠かさず参加し、一昨年は皆勤賞をいただきました。
そして今年、沈み傾く建物のジャッキアップという新しい試みを行いました。
今回、地元飯田市の大工さん2名の協力を得て、藤屋の床の不陸調整を行いました。
建物西側部分、目視でもわかるほど傾いた床をなんとかして欲しいとの要望がありました。
大工さんらは手慣れたもので、沈み込んだ柱際の敷土台にジャッキを設置し、あっという間に持ち上げてしまいました。
一か所を一気に上げてしまうのはちょっと乱暴なやり方で、他の部分で不都合が出るだろうと思ったのですが、意外にも最後に建具を少し調整しただけで済み、スムーズに運んでしまいました。
一カ所しか上げなかったのに、不具合が起こらなかった要因は、開口部で壁が少なかったことと、木材の痩せにより仕口継手部分がゆるくなっていたからと思われます。
今回の経験から、大平宿に残る建物は、現在の一般木造住宅よりもある意味補修し易いつくりであることを再認識しました。
大平宿の建物群の劣化がかなり進んでいることは、今までの調査からも間違いありません。一刻も早く手を入れなければ、貴重な遺産が廃墟となってしまいます。
埼玉県戸田市で木の住まいづくりに取り組んでいる、建築士夫婦の設計事務所です。
ホッと安らげる無垢の木の家、家事がしやすくストレスのない住まい、光と風を感じる空間、健康負荷の無い自然素材の家、セルロースファイバー断熱の呼吸する住まい、高耐震住宅の設計を得意としています。
『家づくり至高ガイド』&『住宅リフォーム至高ガイド』(エクスナレッジ刊)その他、住宅に関する執筆多数。
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