木の家を建てる設計事務所
1994年ですから、19年前に竣工した当時の浴室の写真です。
前事務所(連合設計社市谷建築事務所)時代に担当した世田谷の物件です。
それまでの人生で木の風呂の家にしか住んだことがないので、やはり木の浴槽に、、、という建主さんのご要望で採用したのがこのヒバ浴槽でした。
町の風呂桶屋さんがつくる桧風呂とは違い、テクニカルな下処理が施された浴槽です。
材はカナダ産米ヒバの柾目材。
これに人工乾燥をかけ、三層に貼り合わせた板材で側と底が組まれています。
また材にはセラミック塗装が施され、収縮や腐れが少ない高性能木製浴槽と言えます。
しかしそれとて浴室の湿潤な環境で使うため、持っても20年と言われての採用でした。
そして19年。
年季は入ってきたけど、腐れなどはありません。
しかし、18年を経過した頃内側の板に亀裂と孕みが生じ、またしばらく経つと、張った水の水位があるレベルまで下がってしまうようになってきました。
水は7割がた残るので、漏水箇所は組んである部分ではなく、どうやら接着してあった層の剥がれ部分からのようでした。
見ていただいたところ、修理してもまた他の部分で同じことが起こる可能性高く、もう寿命が来たと考える方がよいであろうとのこと。
入れないわけではないが、老後を見据えて今のうちに心配のない状態にしておきたいとの建主さん決断で、交換と相成りました。
漏水以外は腐れやヌメリもなく手入れも簡単で、すこぶる気に入って使って来られたヒバ浴槽。
また同じものを採用することにしました。
メーカーさんに連絡したところ、この19年の間でさらに改良を重ねたので、「きっとご満足いただけると思います」との力強い言葉が返ってきました。
ハウス&ハウス社
このヒバ浴槽のこだわり性能について、HPでわかりやすく説明されていますので、↑ご興味ある方はどうぞ。
浴槽がはまる周辺の、タイルとの取り合い部分はコーキングだけで納めてあったので、難なく外すことはできたのですが...。
廊下の曲がり部分を通すのに一苦労。
もっと余裕を見ておかないといけませんでしたね
外した浴槽の裏側。
汚れており表面に多少の腐れはありましたが、そうひどくはなく感心しました。
普通の桧桶は持って10年、環境や手入れが悪ければ3~5年といいますから、19年でこの状態は広告に偽り無しですね。
2ヶ月のオーダー期間を待って、新しい浴槽が届きました。
埋め込まれる部分(白く見える部分)には水溶性のアクリルがコートされています。
形状はあまり変わらないようにも見えますが、縁の握り部分の断面を小さくしたり、底面にR加工されていたり、排水溝周辺に水勾配を取ってあったりと、諸々のマイナーチェンジがあるようです。
古浴槽を外す際に設置した簡易やぐら。
これを使って吊下げながら、三人(カントク・カシラ・水道屋さん)がかりで設置、ご苦労様でした。
タイルやカランはまったくそのままで、浴槽交換が完了しました。
やり直したのはコーキングだけです。
濃いヒバの香りが辺りに広がっています。
日々使い始めて。
この底面長手方向のR加工を絶賛されていました。
清掃はスポンジでさっと洗い流すだけなのですが、それがずっとラクになったと。
隅に水が留まらないので、乾く時間も半減したそうです。
3層板の積層部分にはフィルムがサンドイッチされているとのことで、前のような漏水も起こり難くなっているはずです。
建主さん、「これで私は一生を木の風呂桶で終われるわ」とご満悦でした。
ホッと安らげる無垢の木の家、家事がしやすくストレスのない住まい、光と風を感じる空間、健康負荷の無い自然素材の家、セルロースファイバー断熱の呼吸する住まい、高耐震住宅の設計を得意としています。
『家づくり至高ガイド』&『住宅リフォーム至高ガイド』(エクスナレッジ刊)その他、住宅に関する執筆多数。
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