木の家を建てる設計事務所

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木材確認@ときがわ

2016/06/26

設計中のM邸。
架構計画が固まり、構造図が出来上がったのを機に、構造用木材を見にでかけました。

この建物は、木材供給者や製材所・プレカット工場・工務店・設計者がグループを組み、国の地域型住宅ブランド化事業で採択された「森とまちをつなぐ 彩の木の家」による建築を想定しています。

木材供給&製材をお願いするのが、グループメンバーの「協同組合彩の森ときがわ」さんで、
訪ねたのは、埼玉県の比企郡ときがわ町の、長閑な里山にある、乾燥施設をもつ貯木場です。

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ここときがわでも主に産するのは杉材、次いで桧材です。
40~60年生の杉を伐採後、しばらくの葉枯らしを経て山から下ろし、丸太を粗製材した後人工乾燥を行います。


木材がある程度乾燥していることは、構造強度や変形を防ぐ点からとても重要なことで、現場で建て方を行うまでに、木を切り出した状態より何十パーセントも含水率を下げておかなければなりません。
乾燥機を使わない天然乾燥はとても長い時間を必要とし、変形のコントロールもできないため、採用はなかなか難しく、人工的に手を加える機械乾燥を行わざるを得ないと考えています。

しかし乾燥も、ただ乾けばよいというものでなく、いかに理想とする状態でで乾かすか、いろいろと考え方に相違があり、さまざまな乾燥方法があります。
我々のグループでは、木のよい性質を損なわないよう、乾燥は蒸気式の中温(50~80℃)乾燥方式で行っています。
高温セット法と呼ばれる、始めに高温蒸気で木材表面の性質を変えて固める方法は、表面にひび割れが起きないものの、木の変色や内部割れなど看過できない問題があるため、採用していません。
中温乾燥で乾かした木材には、芯持ち材の殆どで、内部と外側の収縮率の違いによっておこる表面割れ(干割れ)が生じるという、問題点があります。

この干割れを緩和するために、化粧柱などには背割りを行うのが、日本の昔からの慣習でした。
材の四面の内の一面から、芯まで届く深い切込みを予め入れることで乾燥収縮をこの面に集中させ、他の三面にヒビを生じさせない工夫です。

干割れが生じた材や、背割りを施した材は、強度が落ちるだろうと考えがちですが、実はそれほどでもありません。
曲げやたわみなどの力がかかりにくい柱では、強度上の問題は全くないですし、水平に用いて上からの荷重に耐える梁材においても、実験上・計算上大きな強度低下が無いことがわかっています。

ただ、仕口や金物の設置位置と大きなひび割れが干渉する場合は、向きの調整や材の交換などを適宜行う必要がありますが。

けれど建て主さんにしてみると、住まいの柱や梁にヒビが入っていることに疑問を感じる気持ちもわかります。
ですので、
実際の木材を見てもらいながら、上記のようなことをご説明できる機会が必要だと考えています。


乾燥前と乾燥後の梁と柱の見本を、用意いただいていました。


乾燥前の杉梁材
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乾燥後の材
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表面のひび割れ、節の大きさや多さ、目の積み具合、色合い、手触り、背割り材など、いろいろな材を見比べながら、ご説明します。
建物において、木材を配置する位置や向きによって、美観上、ひび割れや節だらけの材は避けたい場合もあります。
図面に照らし合わせながら、欲しい材のイメージを、組合側に伝えました。



節の少ない材、多い材、赤味の色の違いなど、材を回し上面以外も見ながら。
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側面に干割れが入った梁材。
目立たない場所に用いるには問題なしと判断
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画像中央、下の方の材。
割れが深く、使用を見合わせた梁材。
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また、見た目ではわからない含水率や構造強度も、目の前で計測してみていただきました。

非破壊で木材の強度を簡易に測れる、打撃音法計測器。
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見た目はもちろんのこと、含水率や強度など、木は一本一本が異なります。
仕様書にある程度の基準は謳いますが、それだけでは、無垢の木を生かした使い方はできません。
それぞれの性質を読み取りながら、一律でない用い方をすることが、自然の素材である木を使う際には必要な考え方だと思われます。

荷重がかかり、特に高い強度が求められる梁、人目に付きやすく割れや節が少ない方が好ましい材、繋ぎの役目でそれほどの強度を必要としない材、水回りや多少の雨がかりなど腐朽に強い赤味が向く材、etc。
1軒の家の中でも、材により求められる性能や外観に違いがあり、それに応じ適材適所に材を配することができれば、より質が高く、かつ並み材も生かし切った建築が行えます。

建て主さんや木材供給側、作り手さん達と、この価値観を共有してやっていければ、、、と痛感します。
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埼玉県戸田市で木の住まいづくりに取り組んでいる、建築士夫婦の設計事務所です。

ホッと安らげる無垢の木の家、家事がしやすくストレスのない住まい、光と風を感じる空間、健康負荷の無い自然素材の家、セルロースファイバー断熱の呼吸する住まい、高耐震住宅の設計を得意としています。
『家づくり至高ガイド』&『住宅リフォーム至高ガイド』(エクスナレッジ刊)その他、住宅に関する執筆多数。
新築・リフォームのご相談、土地探し、耐震診断、既存住宅調査など、小さなことでもお気軽にお問合せ下さい。

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