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コンクリート/放射能測定結果

2018/02/02

東北の震災から、来月11日で7年が経過します。
そして原発が爆発し、放射性物質を広範囲に撒き散らしてからも、同じ年月が流れています。

汚染された環境の、主だったところは除染が進んでいる(環境省/除染情報サイトhttp://josen.env.go.jp/#map_on)とのことですが、
その取り除いた汚染土の行き場については、やっとこれから環境実験が行われるとのことですよね...。

あの年、7月に完工した福島県内のマンションで、1階に入居した住人が被ばくするという事件が起こりました。
原因は基礎コンクリートに使われた砕石が放出していた放射能でした。
原発事故後4月22日に避難地域に指定されるまでの1か月超、浪江町にある採石場が汚染された砕石の出荷を続けていて、
福島県内各地の工事現場で使用されていたことが分かったのです。

我々が日々携わっている戸建て住宅で、放射能汚染を気に掛けるとしたら、やはり基礎部分に使われる材料です。
基礎部分は、鉄筋コンクリート造で、格子状に組んだ鉄筋を型枠で囲み、隙間にコンクリートを流し込み固めてつくられます。
このコンクリートの原料がセメントと骨材(砕石と砂)と水です。

上記の浪江の汚染砕石が出回った経緯は論外としても、東京も含めた近隣県の現場で使われるセメントや砕石や砂は大丈夫なのか?との思いがよぎります。
事故後は、原発から遠く離れた場所にもホットスポットが出現し、皆を疑心暗鬼にさせました。

現場に納入されたコンクリートを毎回計測できれば良いのでしょうが、そういった体制を工務店や設計者が整えるのは簡単なことではありません。
ということで今更ではありますが、これらの材料の安全性について、出荷側でどのように扱っているのか、とある物件の着工を控えた段階で辿ってみました。

DSCN1639.jpg

コンクリートは、工場からコンクリートミキサー車で現場に届きます。
コンクリート工場は現場まで90分以内で運んでこられる場所と決められており、施工業者は都度現場に近い工場に発注することになります。
コンクリートの生産は日本工業規格で厳しく決められており、それをクリアしているJIS工場から出荷されます。

そのJIS工場から提出される「配合計画書」には、砕石・砂の採取場所、セメントの出荷元が書かれています。

砕石・砂は埼玉県の秩父地域からのものとのことですが、放射能測定は、事故の翌年を最後に行っていないとのことでした。
平成24年の測定結果報告書で、セシウムとヨウ素について、下限値を下回り「不検出」とのことです。
放射能測定結果報告書 (1).jpg埼玉県内にもホットスポットと呼ばれる場所が東部にいくつか見られましたが、秩父地方の汚染は心配しなくてよいと判断できると思います。

セメントについては、山陰地方のメーカーからのものを使用しているとのこと。
原料の石灰石は九州地方の採石場から採掘したものを使用しているとのこと。
但しセメントは原料のリサイクル化が進んでおり、多くを再生材料に頼っているとのことです。

ゴミ焼却場からの焼却灰、下水から採取する汚泥を原料の一部として使用し、高温焼成しセメントの元になる物質を作っています。
以前、汚染された焼却灰や汚泥が、セメントをはじめとした色々な建築材料に使われているのではないかということが、問題化したことがありました。
それでセメントメーカーは製品の放射能測定を行うようになったとのことです。

しかしそれも6年以上を経た今では、全量検査などは行っていないというのがメーカーの返事でした。
昨年の11月に行った測定結果報告書の写しをもらえましたが、結果はもちろん不検出。
「不検出」でなかったことは、これまで一度もなかったとのことでした。
放射能測定結果報告書 (2).jpg

ということで、状況が全く辿れないという事はなく安心しました。
が6年以上の月日が過ぎ、この件に関しては出荷側は「収束」と見ているということがわかりました。
福島のたくさんの市町村の回復は遠い道のりですが、皆が関心を持ち続けることが大事だな~と改めて感じた一件でした。



埼玉県戸田市で木の住まいづくりに取り組んでいる、建築士夫婦の設計事務所です。

ホッと安らげる無垢の木の家、家事がしやすくストレスのない住まい、光と風を感じる空間、健康負荷の無い自然素材の家、セルロースファイバー断熱の呼吸する住まい、高耐震住宅の設計を得意としています。
『家づくり至高ガイド』&『住宅リフォーム至高ガイド』(エクスナレッジ刊)その他、住宅に関する執筆多数。
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